今回はリストの『ラ・カンパネラ』という曲をご紹介します。
「ピアノの魔術師」と呼ばれるほどの超絶技巧派ピアニストだったリストですが、作曲・編曲した曲も自身の技術を最大限に駆使する難曲が多いようです。
そんなリストの曲の中でも代表的な曲の一つ『ラ・カンパネラ』のエピソード、おすすめピアニストによる『ラ・カンパネラ』の演奏が聴ける動画、おすすめCDなどご紹介しますので是非、ご覧ください。
リストのラ・カンパネラについて【超絶技巧の曲】
パガニーニの曲をピアノ作品に編曲
『ラ・カンパネラ』はイタリア語で「鐘」という意味でこの曲はヴァイオリニストのニコロ・パガニーニ(以下、パガニーニ)が作曲した『ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調Op.7、第3楽章 ラ・カンパネッラ(鐘のロンド)』をもとにリストがピアノ用に編曲しました。
パガニーニはロマン派時代に活躍したヴァイオリニスト。
超絶技巧を駆使した演奏が特徴でヴォルトゥオーソの先駆者としてもてはやされました。
ロマン派時代には音楽雑誌等の情報流出が革新的に進歩した時代でもあるのでヴォルトゥオーソと呼ばれる超絶技巧を誇る演奏家たちは音楽雑誌にも大きく取り上げられました。
パガニーニとリストは同じロマン派時代の演奏家ですが歳は30ほど離れているので(リストが年下)ヴォルトゥオーソとしてはパガニーニは大先輩にあたります。
1832年、リストが初めてパガニーニの演奏を生で聴いたとき、凄すぎる演奏技巧に大きな衝撃を受け、パガニーニのヴァイオリンでの超絶技巧をピアノで表現しようと編曲を始めた訳です。
リストは1834年『パガニーニの「ラ・カンパネラ」の主題による華麗なる大幻想曲』を出版します。(その後、何度か改訂される)
リストのピアノ曲の中で最も有名で難曲
パガニーニの曲を編曲した『ラ・カンパネラ』は当然ながらヴォルトゥオーソの名に恥じぬ超絶技巧のオンパレードのような曲です。
聴く側からすれば鐘の音をイメージさせる素敵な曲という印象しかありませんが、演奏する側はかなり高度な演奏技術を要する曲です。
この『ラ・カンパネラ』を編曲し、自ら演奏するリストが「ピアノの魔術師」と呼ばれる理由もわかりますね・・・。
現在でも『ラ・カンパネラ』はリストの曲の中でも最も有名で難しい曲の一つです。
ラ・カンパネラは何度か改訂された?
リストが最初に『ラ・カンパネラ』を発表したのが1834年です。それから幾度か書き直しているようです。
パガニーニの「ラ・カンパネラ」の主題による華麗なる大幻想曲
これが最初の『ラ・カンパネラ』。
日本のピアニストではショパン国際ピアノコンクール、チャイコフスキー国際コンクールの2大国際コンクールにおいて唯一、両大会に入賞経験のある小山実稚恵さんが同曲について下記のように語ってます。
「即興から生まれているとしか言いようがなく、右手で弾いたらなんでも無いのに左手を交差するように指示していたり、音でも視覚でも魅せるように意識して、わざと難しくなるように楽譜に書き添えていて、(リストは)真のヴィルトゥオーソだったと思う」
(ウキペディアより引用)
現役で世界でもトップクラスのピアニストがこのように語る訳ですから、リストの演奏技術が如何に凄いかが伝わります。
『パガニーニによる超絶技巧練習曲』第3番 変イ短調
1838年にパガニーニの『24の奇想曲』、ヴァイオリン協奏曲の中から6曲を抜粋してピアノ用に編曲して出版されたのですが「超絶技巧練習曲」と名がつけられてますね・・・。
もうタイトルからして難曲であることが伝わります。
同曲を録音したピアニストは現在となっても6人しかいないのだとか。
『パガニーニの「ラ・カンパネラ」と「ヴェニスの謝肉祭」の主題による大幻想曲』
1845年の改作のようですが、今は演奏されることがほとんどないようです・・・。
『パガニーニによる大練習曲』第3番 嬰ト短調
1851年に発表された「パガニーニによる超絶技巧練習曲」第3番 変イ短調の改訂版。
これまでの『ラ・カンパネラ』の中では「もっとも常識的な難易度」のようです。
また曲全体の構成も見直し「鐘の音」のイメージを全面に押し出したそうです。
タイトルも「超絶技巧練習曲」から「大練習曲」と少し柔らかくなった感じwww
以上、4種ご紹介しましたが、現在『ラ・カンパネラ』は初版の「パガニーニによる超絶技巧練習曲」と改版の「パガニーニによる大練習曲」の2つで区別されること多く、前述の通り超絶技巧練習曲の方は6名しか録音していないほどの希少なものですから・・・。
現在、身近に聴ける『ラ・カンパネラ』のほとんどが「大練習曲」バージョンです。
リストのラ・カンパネラおすめ動画
ここからは『ラ・カンパネラ』の演奏動画をご紹介していきます。
演奏者の解釈の違いにより、印象も違ってきますのでお気入りの演奏を見つけてください!
フジ子・ヘミングのラ・カンパネラ
他の演奏の『ラ・カンパネラ』に比べ、少しテンポがゆっくりめに聴こえますが・・・。
なんとも雰囲気のある演奏ですね。
フジ子・ヘミングさんは同曲について「ぶっ壊れそうな鐘があったっていいじゃない、機械じゃないんだから」と語っていたそうです。
どうしても超絶技巧の要する曲の演奏は機械的な印象になりがちですが、下手に技術を全面に出さずに自分らしさを重要視する味のある演奏に聴こえますね。
辻井伸行のラ・カンパネラ
華麗さの中にも力強さを感じさせる素晴らしい演奏です。
超難曲の『ラ・カンパネラ』ですが全然、難しそうに演奏している感じには見えませんね。
アリス=紗良・オットのラ・カンパネラ
アリス=紗良・オットも『ラ・カンパネラ』を得意とするピアニストの一人。
動画が3つも見つかりましたwww
上の2つが2008年、3つ目が2015年の演奏になります。
アリス=紗良・オットさんの『ラ・カンパネラ』は他の演奏に比べ、音が飛び跳ねていて軽やかな感じを受けますね。
長富彩のラ・カンパネラ
ハンガリーに留学経験もある長富彩さんの『ラ・カンパネラ』。
音が舞い降りてくるような錯覚をするほど優雅で上品さを感じます。2011年の演奏です。
横内愛弓のラ・カンパネラ
横山愛弓さんの『ラ・カンパネラ』はピアノを弾いている手元も映してくれているので素人でも曲の難易度がイメージできますね~。
リストのラ・カンパネラおすめCD
奇蹟のカンパネラ
リストだけではなくショパンの曲も取り上げているフジ子ヘミングさんのアルバム。
『ラ・カンパネラ』のような自身の技巧を披露したくなりがちな曲でも、悠然と構えて自身の世界観で演奏されるのがフジ子ヘミングさんの凄いところなんでしょうね。
Amazonプライム会員なら無料で聴けますよ!
フジ子・ヘミングさんを紹介した記事もありますので合わせてご覧ください。

ラ・カンパネラ~ヴィルトゥオーゾ・リスト!
辻井伸行さんによる初のリスト・アルバム。
タイトルに「ヴィルトゥオーゾ」と入ってますね~。
辻井伸行さんは世界的にも高い評価を受けている現役バリバリのピアニストですから良い意味で大きな自信が垣間見えます。
勿論、演奏も期待を裏切らず素晴らしいの一言です!
辻井伸行さんをご紹介した記事もありますので合わせてご覧ください。

リスト:超絶技巧練習曲集
タイトル通りリストの「超絶技巧練習曲集」の曲がメインのアルバムですが最後に『ラ・カンパネラ』も収録されています。
演奏技術も勿論ですが、曲の解釈も深さが感じれます。
アリス=紗良・オットさんの紹介記事もありますので合わせてご覧ください。

リスト巡礼
長富彩さんはハンガリーのリスト音楽院に留学し、名教師ジョルジュ・ナードルさんに師事していたこともあり、リストの曲はお手の物。
華麗な演奏が堪能できる1枚です。
長富彩さんの紹介記事もありますので合わせてご覧ください。

ラ・カンパネラ~ユンディ・リ/リスト・リサイタルラ・カンパネラ
2000年第14回ショパンピアノ国際コンクールの優勝者、ユンディ・リのアルバム。
容姿端麗で且つ確かな演奏技術・表現力を併せ持つユンディ・リは現代のリストのようなものなのかも知れません。
ロマン派時代、サロンの演奏会で貴婦人たちを虜にしたようにユンディ・リも世界各国でピアノを演奏するたびに女性を虜にするのだとか・・・。
特に今回ご紹介しておりますラ・カンパネラのような難解で華やかな曲を聴かされれば男性すら心を奪われるかも!?
『ラ・カンパネラ』はリストの代表曲の一つでリストを演奏するピアニストなら避けては通れないレパートリーでもあります。
現代の「リスト弾き」のピアニストをご紹介した記事もありますのでこちらも是非ご覧ください。
今回、ご紹介できなかったリストの名盤も取り上げています!

まとめ
リストの曲は超絶過ぎてショパンの曲と比較すると知名度は少し落ちるかも知れませんが、今回ご紹介した『ラ・カンパネラ』をはじめ、クラシック音楽入門者の方でも愉しめる曲(聴く側で)が沢山あるのでこれからもご紹介していきたいと思います。
以上、「【ラ・カンパネラ】リストの曲の中でも超絶技巧を要する代表曲」でした。
クラシック音楽に興味を持ち始めたら色んな曲を聴きたくなりますよね!
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